2009年08月25日

ホッタラケの島大コケ・亀山千広の野望がついえる時

フジテレビ50周年記念の3DCGアニメ『ホッタラケの島〜遥と魔法の鏡〜』(東宝)が初登場11位。ほったらかしたモノで出来た不思議な島に迷い込んだ女子高生・遥の冒険を描く。全国211スクリーンで公開され初日2日間で動員51,036人、興収 64,251,400円となった。(興行通信社調べ)


このひどい成績により日本のCGアニメはほぼ道を閉ざされたと見ていいだろう。そしてこの映画の失敗はフジテレビ映画事業局長亀山千広の長年の野望であった「日本のピクサーをフジテレビで作る」という夢が潰えたことを意味している。


亀山の日本のピクサーを作るという野望はアニメスタジオGONZOと組んだ「ブレイブストーリー」(2006)で華々しく幕を開けた。亀山は本気だった。GONZOを日本のピクサーに、本音を言えば日テレと組んでいるジブリのようなメガヒットを連発するブランドに育て上げるつもりだったのだ。


〜フジテレビ映画事業局の亀山千広プロデューサーは、「世界に通用するアニメーション映画を作っていくには、特定のクリエイター個人と組むよりは、二年に一本程度のペースで着実に作品を送り出せる体制が取れる会社と組んだ方が有利です。GONZOは、複数の監督やプロデューサーを擁するクリエイター集団であり、同時にアニメーションビジネスを本気で考えている会社です。日本発のアニメーション映画を世界に送り出そうというビジョンの点でも一致していました」〜
アップル社のインタビューより


亀山が本気だったのは莫大な資金をかけて映画「ブレイブ・ストーリー」のために、東京・練馬に新たなアニメーション制作スタジオを立ち上げたことでも明らかだった。だがそのこころみはもろくも崩れ去る。新しい制作スタジオを作り莫大な製作費をかけた映画ブレイブストーリーは興行収入も作品の評価もかんばしいものではなかったのだ。(ブレイブストーリーの興収20億はアニメ作品としてはヒットといってもいいくらいだが、作品にかけた資金が莫大だったため赤字だったと思われる)そして亀山が日本のピクサーに仕立て上げようとしたGONZOは倒産寸前(2009年7月30日に上場が廃止された)


そして亀山千広の野望最後の切り札が「ホッタラケの島」だったのだ。日本のアニメスタジオでもトップクラスのプロダクションI.Gと組んだ本作で亀山の日本にピクサーを作るという夢がかなえられるはずだったのだ。それもピクサー的なフル3DCGアニメーションで。


それが冒頭に書いたこの残酷な結果である。この結果はただの1本の映画の失敗だけではない、亀山千広の失墜と日本で今後ピクサー的なCGアニメが作られることがなくなるという重大な意味があるのだ。


亀山千広はなぜ失敗したのか?その答えの一端が先ほど書いた亀山のインタビューにあると思う。彼は日本にピクサーを作りたいと本気で考えていた。それにはジブリのような宮崎駿という一人の天才だけでもっているようなスタジオではなく特別な天才がいなくても傑作を次から次へ作り出すピクサーのようなシステムが必要だと。


だがこれは完全に亀山の誤解である。ピクサーこそ一人の天才によって支えられる会社なんだよ。その天才こそジョン・ラセターその人だ。亀山のその勘違い〜映画作家軽視がこの失敗のすべての根源にある。


「世界に通用するアニメーション映画を作っていくには特定のクリエイターと組むのではなくピクサー的なシステムを作る必要がある」ここに亀山最大の誤算と勘違いがあったのだ。


亀山の映画作家軽視の最大の失敗例は細田守を囲い込めなかったことにつきるだろう。せっかく細田の「時をかける少女」を最初にテレビ放映してファンとしては「おっ!亀山千広、細田守と組んでなにか作るつもりか」と期待していたら、あっさり日テレに奪われてやんの。才能ある映画作家を認めず、システム作りに奔走した亀山千広の失敗といえるだろう。
posted by シンジ at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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