2006年12月11日

幸や不幸はもういい。自虐の詩・映画化(動画あり)

業田良家作「自虐の詩」が堤幸彦監督、主演中谷美紀、阿部寛で映画化されると聞いて愕然とする。


なんちゅう無謀なことを・・・。


何が無謀かって業田良家のギャグ4コマ漫画を映画化することが無謀だと言ってるんじゃない。


この漫画史上に燦然と輝く大傑作にして不朽の名作を映像化できるのかよ?という無謀である。


いや、俺もこの作品を連載当時から読んでいたわけではなくて、例のごとくBS漫画夜話でいしかわじゅんと呉智英が激賞してるのを見てほいほい買ってきてしまったのであるが(だってこの日本を代表する鬼ふたりが号泣するって言うもんだから)


で・・・俺も読んで鼻水だだもれ、涙腺決壊。それだけじゃなく人生とはなんであるかという哲学さえ、もうこの自虐の詩に影響されまくり。


竹書房文庫の上下巻なんだけど上巻はなんてことのない4コマギャグマンガ。正直上巻だけ買った人は何だこれ?といって下巻を買わない可能性があるくらいのしろもの。


でもさこれが下巻になって劇的に変わるんだよ。見るからに薄幸そうな主人公幸江の不幸さを面白おかしく描いていただけの話が、幸江の過去をところどころでフラッシュバックしていく頃になると急激に幸江というキャラクターに血がかよい始めてくるんだ。


それからはまさに怒涛の勢いで幸江とイサオの人生が読者にせまってくる。この衝撃といったらないね。だって4コマ漫画だよ?ギャグ漫画なんだよ!?


そしてこの漫画がたどりつく崇高なる境地。ネタバレだけど書かずにはいられない。


−この世には幸も不幸もないのかもしれません
 
−なにかを得ると必ずなにか失うものがある

−なにかを捨てると必ずなにか得るものがある

−たったひとつのかけがえのないもの、大切なものを失った時はどうでしょう・・・

−私たちは泣き叫んだり立ちすくんだり・・・

−でもそれが幸や不幸ではかれるものでしょうか

−かけがえのないものを失うことは、かけがえのないものを真に、そして永遠に手に入れること!

−私は幼い頃、あなたの愛を失いました。

−私は死にもの狂いで求めました。求め続けました。

−私は愛されたかった。

−でもそれがこんなところで自分の心の中で見つけるなんて・・・

−ずっと握りしめてきた てのひらを開くとそこにあった。そんな感じで。

−おかあちゃん これからはなにが起きても怖くありません。勇気がわいています。

−この人生を二度と幸や不幸ではかりません

−なんということでしょう 人生には意味があるだけです。

−ただ人生の厳粛な意味をかみしめていけばいい。勇気がわいてきます。


幸江のモノローグです。この大感動のクライマックスをぜひ味わってみてください。YouTubeの自虐の詩特報もおいておきます。




追記・・・どうやらあの蛭子能収さんが自虐の詩に出演しているようです→蛭子能収の日記
なんというか自虐の詩の世界にピッタリです・・・・(イラストもあります)
posted by シンジ at 05:01| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月10日

12月2〜3日の興行成績・武士の一分の成績をどう見るか?

December 2--3, 2006 1ドル= 115.487円
今 先  累計興収  週末興収 Screens 週 題名       
1 - *,435,089,188  317,913,653  353 1 武士の一分
2 - *,375,238,744  270,515,016  443 1 007/カジノ・ロワイヤル
3 1 4,321,272,125  212,109,430  318 5 デスノート
4 2 *,956,118,028  118,306,153  297 3 プラダを着た悪魔
5 3 1,397,694,468  *59,637,256  311 6 父親たちの星条旗
6 4 *,952,432,145  *48,944,661  231 5 手紙
7 5 1,607,172,064  *42,643,344  231 6 木更津キャッツアイ ワールドシリーズ
8 7 *,365,544,880  *38,462,830  *87 3 ソウ3
9 8 *,144,108,259  *35,619,193  214 2 ありがとう
0 6 *,405,633,536  *30,237,730  232 3 トゥモロー・ワールド


さすがにデスノートV5ならず。でも5週目でも週末2億かせいでいるのはえらい。最終興収予想も55億〜といわれており、捨て身の前作TV放映は大成功した。


さて武士の一分の興収は、金、土、日3日間の興収が4億3500万円だが、土日興収で見ると・・・


武士の一分・・・・・1週目の興収3億1700万円

木更津キャッツアイ・1週目の興収2億9900万円(最終興収20億程度?)

涙そうそう・・・・・1週目の興収3億9000万円(最終興収30億)

デスノート前編・・・1週目の興収4億(最終興収28億)


スタートダッシュが似た映画はこんなところ。これを見ると武士の一分の予想興収は20億から30億の間でしょうか。


ただ難しいのは映画には初動型の映画、つまりスタートダッシュは猛烈だがあっという間に興収の勢いがなくなる映画というのがある。たとえば、

フライトプラン・・・1週目の興収6億円(最終興収31億)というのがある。

こういう初動型の映画はおもにハリウッド映画が多く、1週目ですさまじく稼いでおきながら最終的には「あれ?」と拍子ぬけする結果を出すものが多い。


それを考えると日本映画は息の長い興行を続ける作品が多く、武士の一分も客層が幅広いのでどうなるか。


12/9〜10はNANA2、硫黄島からの手紙が公開されるのでランキングも変動があるだろう。予想としては1位硫黄島、2位NANA2、3位武士の一分、かな?
posted by シンジ at 05:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画興行収入 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月09日

愛あればこそ「武士の一分」

山田洋次監督作品「武士の一分」を観た印象は−シンプル イズ ベスト!


藤沢周平三部作の中で最もシンプルなお話で、夫婦愛に特化した物語が感情移入しやすく心地いい。


当代随一の演出家山田洋次の助けがあったとはいえ、木村拓哉はよくやったと思う。盲目となっても軽口をたたく“旦那様”の姿に客席からは笑いも起こり、作品に陰惨な印象はまったくない。


妻役の檀れいも素晴らしい、というか最初の映画作品が山田洋次なんてついてるとしか言いようがない。清楚で夫に尽くす貞淑な妻、そのまんまである。でもそれだけじゃない、夫から離縁を言い渡された時のき然とした態度に芯の強さを感じさせて惚れ惚れする。


映画は実にシンプルで夫、妻、下男のほぼ3人で進んでいく。この3人のつつましやかな生活を丹念に描くのがいい。もちろんそれだけでは映画は成り立たないから悲劇や怒りもあるが、悲劇や絶望をことさらに強調することもなく、喜びも悲しみも日々の暮らしの中の出来事として受け入れられていく。


そしてそんな日常の底に常に流れているのが、二人の愛だ。


ここまでストレートに夫婦愛をうたった映画も今時めずらしいのではないか。この映画は時代劇お決まりの復讐譚であるからして当然嫌な奴とかでてくるわけだが、木村拓哉、檀れいふたりの夫婦愛が根底に流れているから映画を観ている最中いやな気持ちになることがない。


復讐もまた愛ゆえにである。


盲目の殺陣というとすぐに座頭市が思い浮かぶが、あれとは全然違う殺陣。座頭市は漫画の面白さで、武士の一分の盲目剣には圧倒的な緊張感がある。ただ決着があっさりつくので拍子抜けするけど、まぁリアリズムということで。


ラストはもちろんハッピーエンドでさわやかな感動があり、気持ちよく劇場をあとにできる。山田洋次・・・職人やのう。


点数は・・・ひさびさに観た夫婦愛に心が暖かくなるので85点で。
posted by シンジ at 05:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする