人間はゆっくり首を吊られると、息がつまる。最初の段階でロープが首に食い込み、頚静脈と頚動脈がしまって、顔が青紫に変色する。脳に酸素が供給されなくなり、十秒ほどで意識を失う。空気の供給が完全に遮断されなかった場合は、もう少し時間がかかる。一分ほどして次の段階へ移行する。呼吸筋が収縮し、舌が口から飛び出し、舌骨と喉頭が損傷する。その後、制御不能の激しい痙攣が起こる。手足が八回から十回がくがくふるえ、たいていの場合、頚部筋肉が裂ける。それから突然静かになり、息も止まる。一、二分すると最終段階となり、死はほぼ避けられなくなる。口が開き、体全体で空気を求め、断続的にあえぐ。一分間にせいぜい十回ほど。口、鼻、耳から出血し、顔がふくれあがり、右心室が広がる。そしておよそ十分後、死に至る。
−フェルディナント・フォン・シーラッハ「罪悪」
死ぬなら餓死に限るな・・・首吊りは一番お手軽だけど、きつそう。