2007年12月02日

社会派と思いきや実は女の情念もの「点と線」

つらい現実を忘れるには質の高い作品を観るのが一番だな、ということでテレビドラマ「点と線」を観た。


いや〜これは面白い、続けて2回観ちゃったよ。


昭和30年代の風俗見てるだけでいい感じ。当時の福岡市香椎駅周辺のオープンセットとか東京駅のセット、東京の雑踏とか全部セット組んでるのが素晴らしいな。


香椎駅周辺なんて物語上さほど重要とはいえないのに町ごと全部セット組んでるなんてスタッフの気合のかけかたが違いすぎる。


プロットは4分間のあまりにも不自然な目撃証言と容疑者の鉄壁のアリバイをどう崩すかというミステリのありがちな枠組みに


松本清張独特の当時の世相に関係のある社会的なメッセージ性を全面に押し出した作品なんだけど、


これが作品のクライマックス、ビートたけしと夏川結衣の対決シーンにいたって完全に作品自体が変化するのだ。


政治家、官僚の腐敗を背景にミステリ王道のアリバイ崩しを描写してきた本作がたけし、夏川の対決を境に劇的にその相貌を変える!


いままでメインだったテーマ性、政治官僚の腐敗、あるいは戦争体験などの物語が後景へとしりぞき、この「点と線」の絵図を描いた張本人といえる夏川結衣の女の情念がせり上がってくるのだ。


この夏川、たけしの対決シーンはこの物語中の白眉であり圧巻ともいえる迫力。


もうアリバイ崩しだの政治的背景だのどうでもよくなってくる。すべてはこの恐るべき女ひとりの情念が生み出したことなのだ。


たけしが自分の妻が亡くなったことから話し始め、それをたくみに夏川に重ねあわせて夏川を追い詰めるレトリックにしびれる。


そしてたけしに追い詰められる過程で夏川の壮絶な覚悟と人生も垣間見せる脚本は見事だ。


そしてなんといっても女優・夏川結衣のあまりの素晴らしさ見事さにうっとり(*´Д`*)


このドラマで夏川結衣のとりこになったよ。この人はもっと映画に出て欲しいな。なにしろこの人のデビュー作はあの石井隆の壮絶極まりない映画「夜がまた来る」(1994)ですから。


もうこの夏川結衣のシーンだけ何度も巻き戻して観ちゃうよ。それにしてもビートたけし+松本清張はドラマ界にとって最大の鉱脈ではなかろうか?シリーズ化してくんないかな〜。
posted by シンジ at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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