アバターwowは1作目と比べてもクライマックスのアクションがかなりスケールダウンしている。なにしろ敵は「捕鯨船」でしかないのだ。戦闘のプロではなく漁業を営む人たちをナヴィ族が大虐殺していくのである。
キャメロンの日本の捕鯨船に対する憎悪はシーシェパード並なんだな(笑)というのはわかるが、敵役としてはあまりにも弱すぎる。こんな貧弱な敵ではバトルが盛り上がらない。前作よりスケールダウンと表現した所以である。
アバターwowはアバター3の人間との全面戦争につながる中途の作品だとわかるのも不満だ。見せ場は全部アバター3に取っておいてあるだろうと予測できてしまうくらい地味なストーリーなのだ。
シナリオ面でも不備はあり、弟ばかり描写して兄のことをほとんど描写しないので、クライマックスの衝撃と感動がほとんどない。そしてしつこいくらい繰りかえされる「俺たちはファミリーだ」ワイルドスピードじゃないんだよ!古臭いな。
映画を見た人のほとんどが称賛する映像美についてだが、たしかに今まで映画館では見たことのないレベルのクリアな映像だった・・・でもこのクリアで陰影の全くない映像どこかで見たことがある・・・電器店の店頭にある大型TVのデモ映像とそっくりじゃないか!
wowの異常なくらいくっきりとした、映画的な陰影のない映像は完全に電器店の大型テレビのデモ映像と質感がそっくりなのだ。近所の電器店に行って大型TVに移る映像を見に行ってください、それがアバターwowの映像です。
とはいうものの、CG技術は天元突破しているのでマーベル映画の雑なCG(いわずもがな日本映画のCGも)などとは比べものにならないのは事実。でも面白いことにすべてのシーンに金がかかり、すべてのシーンが凄いと皮肉なことにすべてのシーンが「普通」に思えてくるのだ。慣れって怖いですね。
すべてのシーンが凄すぎてすべてのシーンが普通になるとどうなるか。一点豪華主義みたいな、ここに多額の予算をかけてますというような「ここが見せ場ですよ!」というフリがないので作品自体が平板な印象になるのだ。