2013年10月15日

家族とは何かという問い「そして父になる」

家族とは何かという問い「そして父になる」

是枝裕和監督作品、映画「そして父になる」を観る。

この映画は血のつながりがあるから家族に「なる」のではなく、血のつながりのない者同士が家族に「なろう」とすることを描いている。家族というものはただ血がつながっているから、一緒に住んでいるから家族になるのではなく、愛や信頼といった強い意志、つまり家族に「なろう」とする意志がなければそれは「家族」ではないということ。それはつまり家族に「なろう」とする意志があれば血のつながりのない赤の他人同士でも家族になれることを示す。と、ここまでは以前書いた映画評「八日目の蝉」(東京物語とコジェーヴで読み解く「八日目の蝉」)とテーマが同じなので言ってることの繰り返しになっているが、じゃあ根本的な問題として「家族」ってなんだよ、という問いに突き当たってしまう。

「家族とは何か」なんてあまりにも根本的な問いすぎて、荷が重いのだが、「そして父になる」を見る上で避けては通れないと思ったので無理やり考えてみる。

家族とは何か。生物学的に言えば、自分の遺伝子を残すためのものという身も蓋もない答えが出てしまう。人間以外の生物も家族という単位を作るが、それは自分の遺伝子を残すというプログラミングでしかない。たとえばよく知られているライオンのオスの行動がある。他のオスからメスを奪ったオスライオンは、そのオスとメスの間に生まれた子供を皆殺しにする。子供が死ななければメスは発情せず、交尾すること=自分の遺伝子を残すことができないからだ。人間以外の生物にとって、家族を作ることとは遺伝子を残すための自動的なプログラミング以外の何ものでもない。

しかし人間と他の生物との違いは、人は遺伝子の命令(自己保存という脳の命令でもいい)というプログラミングを超える文化的価値を創造する点にある。家族はいわばその文化的価値の産物である。といっても「家族」という制度に関しては毀誉褒貶もある。近代の家族制度は「国民国家」の誕生とともに生まれた制度だろう。国家にとって一人一人の民衆から税金を取るより、男性を中心とした家族という単位を作り、そこから税金を取った方が効率的である(徴兵も)。近代の家族制度は徴税の効率性から生じたものにすぎない。

しかしそれでも「家族」という仕組みが完全に消滅するとも思えない。姿や形、制度や思想が変われど「家族」という形態は数百年後も残るはずだ。そしてその「家族」は遺伝子を残すために存続するのではなく、人の信念を存続させるために存在するようになる。

フランソワ・ダゴニエはこういう
「いかなる社会的参加にも関わらず、自分だけに頼るものは最悪の抑圧に屈することになる」と。


その最悪の抑圧に対抗するための最小の社会的参加単位こそが「家族」である。自分の生命、自由を守るために、信念と愛で結びついた最小の社会的参加単位。さまざまな社会の抑圧から身をていして守ってくれる信念の単位である。この信念の単位はもはや遺伝子を存続させるためなどという生物学的なシステムや、血縁主義から遠く離れている。「そして父になる」は血縁主義や近代の国家制度を超えたところで「家族」を構築しようとするこころみを提示しているとはいえないだろうか。

・・・たんなる映画批評が大げさな方向にいきすぎたかな。でもこの映画を見て「家族っていいもんだな〜」という感想をもつのは能天気すぎると思ったので。「家族」という文化的価値が自明のものとしてあることに揺さぶりをかける意図が是枝監督にはあったと思う。つまりこの映画を観ると、あなたの信じてる「家族」ってなにかね?という問いを突きつけられるのだ。






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閑話休題
℃-uteの矢島舞美さんが「そして父になる」を観て感想をブログに書いていた。感動したのでURLを貼ります。文章は人柄を表すという言葉は本当だった!奇跡のアイドルとしかいいようがない。


http://gree.jp/c_ute/blog/entry/673379446

昨日は久しぶりに一人映画しましたよー

最近、全然映画観に行ってなかったもんな〜(^^;;

観たのはですね〜(  ̄▽ ̄)
『そして父になる』

産後、取り違えられた子供を6年間我が子と思って育ててきた夫婦。

その事実を知って今までの生活が崩れて行くんですが、その中で親として成長していく物語!!

テレビであらすじを知った時点で

『うわー
こんな事が自分の身に起きたらどうするんだろう…
』って思ってしまいました

実際に映画を観て…

ズシッときましたねー

いろんな立場で感情移入してしまいました

子供は何にも悪くないのに、『明日から、違う人がパパとママです!』って突然言われたって…

『じゃあ、私、もうこの家にいらないの?』って、心にすっごい傷をおいますよね…。

でも親の葛藤も分かります

これまで自分の子と思って愛情を注いできた我が子をとるのか

自分たちと血の繋がった本当の我が子をとるのか

あー
もぅダメだ

考えられない

映画の中のある人に向かって
『もぅ(●`ε´●)あの人は許せない
』って思っちゃいましたもん!!(^^;;

…役なのに…ごめんなさい(;^_^A

だけど、その事で、自分に足りなかったものに気が付く事ができて

徐々に徐々に、自分を変えていく…変わっていく父親の姿に、やじはもぅ……一人で涙腺崩壊寸前でした

まだまだ先の話だけど
いつか私がお母さんになったら、その時は子供が今どんな気持ちでいるのか、ちゃんと気付いてあげられるようなお母さんになりたいな

そしていーーっぱい愛してあげたい

…なんて事を思う映画でした

そんな映画を観たからか…

父と母に感謝の気持ちが沸いてきて

そのまま2人にプレゼントを買って帰りました

父には直接渡せたけど
母は用事で会えないまま、私も北海道に向けて前泊しなくちゃいけなかったから

お手紙と一緒にベッドの横に置いてきました

お母さん、気付くかな〜

ちょっと照れくさいね(///∇///)

ちなみに父は
『どうしたの
(゜o゜)/』と、ビックリしながら喜んでました(笑)

だって本当は一人で都内に向かうはずだったのに

『送ってあげるよ
可愛い娘のためだもん
……なんちゃってf(^_^)』とか言い出してましたもん(笑)

ははは(*´∇`*)
相変わらず愉快な父だぁ


つい引用してしまいました。

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posted by シンジ at 19:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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