2009年09月09日

辻真先サマーウォーズを絶賛・そして楳図かずお

これだけは書いておきたい。『時かけ』以来の細田監督作品『サマーウォーズ』は、傑作と信ずる。あちこちで提灯を持つつもりだから多言しないが、ジブリより今日的で、エヴァより明快で、ガンダムより万人向きで、だが作家性をまったくうしなっていない。拍手。ー辻真先


辻真先氏はwikiを見てもらえばわかるようにアニメ黎明期から名だたる有名作品(鉄腕アトム、ジャングル大帝、デビルマンから名探偵コナンまで)の脚本を書かれてきた大家です。


サマーウォーズを見て1ヶ月たつのにいまだその熱が覚めやらない自分としても嬉しい限りのほめ言葉。・・・といいつつ自分は辻真先氏の作品を1冊も持ってないのですが、なぜか辻氏が楳図かずおについて書いた新聞の切り抜きだけは大事に取ってあります。なぜならそこに書かれた楳図かずお作品「きずな」についての解説文に感動したからです。


結婚を誓った18歳の英夫と17歳のミチ。だがふたりの間に飛び込んできたトラックのため、運命は暗転する。意識不明となったミチを、英夫は決して見捨てようとしない。物言わぬまま老いていくミチの介護に明け暮れて、他の女に心動かそうとしなかった。

ーとは実は、意識不明がつづく英夫の空想であった(交通事故で頭を打ったのは彼の方だった!)。英夫の介護に若さをすりへらすミチは、見合いの話を断り、老いつづける英夫と生涯をともにする。男の枕元で女はつぶやく。

「わたしは今もこの人を愛しているのです・・・・・・でもこの人はそれを知らない・・・・・・知らなくてもかまわないのよ。愛は片道切符なのだから・・・・・・」

そして最後にミチはいう。「私が死ぬ時にこの人が死ぬのよ」

このセリフは怖かった。愛を極限状態に置いた観察記録が語る、優しさと酷さ。だが彼女は信じるのだ、「この人の顔つきは、いつも私のことを思いつづけているような気がするのよ・・・・・」と。

カットは、ミチを介護する英夫の場面だが、どんでん返しを知った後で読み返すと、片道切符でしかない愛の「きずな」の正体が、痛烈に刻み込まれる。発表は30年も昔だが、時の腐食を覚えない傑作と信じている。ー1999年2月13日中日新聞現代マンガ私史楳図かずお「きずな」ー辻真先



恥ずかしながら楳図かずお先生の「きずな」をいまだ読んでない不勉強の自分ですが、この文章だけで胸が熱くなり、陶然としてしまい読んだ気になってしまうのです。
posted by シンジ at 16:57| Comment(1) | TrackBack(0) | アニメ・コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
絆すごいですね

あんな家で変なメディア写りした人とは思えないですね

Posted by ST at 2010年07月17日 07:44
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