映画「ちゃんと伝える」を見たよ。園子温監督の「愛のむきだし」とは180度違うスタイルと内容にとまどう。まるでフツーのまったくノーマルなドラマがつむがれていく。ところどころ時制を変えた編集があって「おっ!?」という引っかかりを持たせるのが面白いくらいで、園子温ムービーとしてはあまりにもフツーすぎるので逆に不安になってくる。
いったいこの映画のどこに俺の愛する園子温がいるんだよ・・・こんなありきたりな「余命」映画ですれっからしの俺が感動するわけね〜だろ、と不安になりながら見ていると・・・出たよ園子温の豪腕が。
父の葬式後の異様なシークエンス。ほとんど狂気ともギャグともとれるスレスレなシーン。いったいこれは笑っていいのか、それともこれは狂気の発露で本来ゾッとすべきシーンなのか。見るものの気持ちを千々に引き裂きながらそれでも強引なまでに感動へと着地させてしまう園子温の豪腕にあきれるやら感心するやら。もうね泣きましたよ、泣くしかありませんでしたよ。
でも、ここが映画最大の山場だと思ったら違いました。俺的最大の山場はこの後にありました。
AKIRAがストーブの前(監督の実家だそうです)で伊藤歩に「ちゃんと伝える」シーンでの伊藤歩の無言の芝居。もうこの時点で俺の伊藤歩に対する愛がはちきれんばかりになっていたというのに、場所を変えて今度は釣り堀で伊藤歩がAKIRAに「ちゃんと伝える」シーンで俺の伊藤歩愛が爆発。

伊藤歩が好きだ大好きだ。もう愛おしくて愛おしくて胸が張り裂けそう。釣り堀シーンでの伊藤歩の演技、表情、その存在のすべてを愛す。セリフも素晴らしい。書きおこそうと思ったけどあまりに感動しすぎて忘れてしまった。
あ〜なんか書き足りない。もっともっと伊藤歩のすばらしさを声を大にしていいたいのにボキャブラリーが足りない。いままで日本映画界は伊藤歩を邪険に扱ってきたといわざるをえないが、ついについに伊藤歩という不世出の女優の大輪が花開いた、この「ちゃんと伝える」という映画で。この映画の伊藤歩のことを思い出すたびに胸がいっぱいになる、胸が熱くなる。もう1回見にいくわ。
