2009年6月27日(土)16:03キックオフ・浦和駒場スタジアム
試合結果
浦和レッズ2−0(前半2−0)ヴィッセル神戸
得点者:2分エジミウソン、42分高原
入場者数:18,777人
サッカーってのはもちろん真剣勝負のスポーツでありつつエンターテイメントでもあるんだけど、今年のレッズの試合に関してはエンターテイメント性と変な話、学習性みたいなものがあってやみつきになる。
今日の試合はこれこれこういう課題が出た。だから次の試合ではこう対処しましたよ、みたいな。
完全に俺はサッカーの試合を見て楽しむというより、フィンケ教授がこういう問題を出してきた、さてあなたならどう解きますか?みたいなことを楽しんでる。
今シーズンのレッズは高いDFラインを設定し、ほとんど相手陣内のハーフコート内の狭い空間から攻撃も守備も始まる。
初戦の鹿戦ではその意識が高すぎ前がかりになりすぎて裏を取られて失点。即座に2戦目は前がかりになるのを修正するも、その後フィンケサッカーとはなにか?ということを選手自身も試行錯誤していたが第4節大分戦、山田直輝という答えがついに出る。直輝という答えがでて以降、フィンケスタイルが浸透しはじめるのだ。
第4節から第8節の清水戦までみていて圧倒されるようなサッカーを展開していた。ほとんど相手にボールを触らせないで相手陣内に敵を押し込めボールを回しに回す。ゴールするまでのパスの回数はパスサッカーの定着する広島を大きく上回るものだった。
たださすがにJリーグの監督たちは無能ではなく、レッズの弱点を見抜きはじめていた。レッズがオフサイドをまったく取れないということに・・・手元にデータがないけど1試合のうち1回もオフサイドを取れなかったことも多々あった。
その欠点がもろに露呈したのが第11節の川崎戦である。川崎は前線はすべて外国人にまかせた憲剛のロングパス一本のチーム。オフサイドを取れないレッズはことごとく外国人との1対1に負け失点。
ここから厳しくなってくると思いきや、W杯予選に入ってリーグ戦は小休止。代表選手がいなくなり若手中心でナビスコカップをやりくりすることになったが、これが大成功。
理由は中央のDF二枚が山田暢久と坪井になったこと、驚くべきことに二人のコンビは大成功で、ライン設定をかなり高く保っているためいままで取れなかったオフサイドをバンバン取るようになる。さらには阿部のかわりに中盤の中央に入った細貝萌が大ブレイク。縦横無尽に動き回りフィジカルの強さを生かした相手にぶち当たるような守備に、ゴール前に頻繁に顔を出す積極性と完全に阿部のプレイを凌駕。
チームは絶好調のまま代表選手が戻ってきてリーグ戦再開。しかし横浜戦は今シーズンワーストゲームとなってしまう・・・。
原因は萌にくらべるとダイナミズム性の劣る阿部がいつもどおり中央に入ったこと、さらには本来なら高く設定しなければならないDFラインをズルズルと下げ、中盤が命であるはずのレッズのスタイルにもかかわらず中盤省略のロングパスを繰り出す闘莉王にあった。(後、夏の暑さ対策をしなかったというのも大きかった。)
さあフィンケどうする?どうなる?というのが第15節神戸戦の宿題だった。そしてフィンケはそれに答えを出したとは思う。まずは夏の暑さ対策・ペース配分を徹底させたこと。それから細貝萌を中盤にすえる。もう一つは(これが一番難しい)闘莉王のコントロールだ。チームの王様である闘莉王をコントロールするというレッズのどの監督も成功しなかったことに着手したのだ。
神戸戦での闘莉王はいままでになくラインを高くし、中盤省略のロングパスを封印(見てる限りほとんど出さなかったと思う)これはフィンケ相当厳しく闘莉王に厳命したんだなというのがわかるほど。
だが、この試合勝ったもののその高いDFラインが成功したとは言い切れない。DFラインの裏を抜けて決定的なピンチが何度もあったからだ。神戸のFWがまともだったら3点は入っていてもおかしくなかった。
闘莉王が高いDFラインに不満なのもみてとれる。闘莉王は足が遅いためカウンター一発で裏を取られるのを嫌がる。それはディフェンダーとして当然だが、実は闘莉王が高いラインを嫌がるのは自分の都合がある。DFラインを高くとると自分がプレイするエリアが狭まる、つまり自分が攻撃参加するためのスペースがなくなることが嫌なのだ。
高いDFラインを嫌がり不満たらたらの闘莉王に対する対処もフィンケ学校の宿題になってしまった。しかしあまり不安はない。今までの歴代の監督たちよりあきらかにフィンケの引き出しは多くて深い。しかも前の試合の問題点をたった1週間のうちに改善し、答えを出して選手に実行させてしまう。次節では闘莉王が嬉々として高いDFラインを統率してる姿が見えるだろう。
しかし神戸戦の高原のゴールは凄かったね!今のところ今シーズンベストゴールじゃないか。その前のパスワークも美しい。